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blog 自然の美しさが木目に宿る

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木がなぜ美しいのかと言うと、その木目の美しさ、肌合いの美しさです。

木には年輪があって、きれいに加工するとその年輪が実に見事に現れてきます。

この模様を「杢(もく)」といいますが、思わず触りたくなってしまう木目の美しさ、木肌の美しさは木という素材の大きな魅力です。

 

木目模様の魅力とは何でしょうか。それは木目が自然にできたものだということに尽きるでしょう。私たち人間も生き物です。自然の中の一部です。自然に触れていることが私たち人間には大切なことなのです。 木の家が良いと感じている方には、木目を見ていると気分が落ち着くという方が多いようです。

 

木目模様は木の種類によってさまざまです。大きくは針葉樹と広葉樹で木目の模様が変わってきます。針葉樹はまっすぐな目(正目といいます)が出たり、板目といって表情のある目が出ます。これは針葉樹は年輪がはっきりしているからで、木をどう切るかで木目の出方が決まってきます。

 

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一方、広葉樹はもっと目の出方がさまざまで予測がつきにくいのが特徴です。それは、広葉樹は針葉樹のように年輪がはっきりとしていないからなのですが、その分、個性も強いのが広葉樹です。木目の個性を楽しむために広葉樹が求められることも多いのです。

 

木目というのはひとつとして同じものがありません。同じ1本の木でも切り口が違えば木目も違ってきますから、違う樹種ともなれば、その表情の違い、個性の違いはとても豊かなもの、バリエーションが豊富なものになります。色も違えば模様も違う。これは人が作り出すことができない自然の偉大な表現なのだと思います。

 

このように、自然の表現として、木の個性、素材の個性を楽しむことができるのが木の特徴です。そのような素材は他には思いつきません。木という素材のもつ楽しさと魅力が、木の持つ木目にあるのです。

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もちろん、針葉樹や広葉樹に限られたことですが、木には美しい木目模様もあればそうでないものもある。でも、人は見ていて心安らぐ自然の一部としての木目模様を、昔から自分たちの生活空間に取り入れて親しんできました。私たち日本人の生活は木目模様に囲まれて営まれてきました。木目模様は私たちの生活にとって切っても切れないものなのです。空気のように自然にそこにあるものとして昔から存在しています。節だらけの木だっていい表情を見せてくれるのです。

 

さらに、木には木目のほかに木肌という表現があります。木目だけではなく木という素材がもつ特有の柔らかい感じ、肌触り、それが木肌です。

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日本の大工さんは丁寧に調整した鉋(かんな)を使い、木肌の美しさを最大限に生かすよう技を磨いてきました。大工さんの鉋(かんな)は木の仕上がりを、見たことがないほど素晴らしいものにする魔法の道具のようです。これは、人間が長い年月をかけて木という素材のもつ魅力を最大限に引き出してきた結果です。その美しさを日本人は古くから求めてやまなかったのだといえます。

 

大工さんの腕前で鉋(かんな)をかけられた木でなくても、木の肌触りは特別です。光が当たった時の柔らかい光の照り返しも他の素材では味わえないものです。これも木が持つ自然の表現力だと思います。

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また木の色はさまざまで個性的です。白いシナの木、赤みのあるサクラ、白太と赤身のコントラストのある杉、少しくすんだ黄色味を帯びたサワラ、薄いピンクのヒノキ。どれも個性的な色合いを持っています。木の自然な色合いも木が持つ自然の表現力のひとつでしょう。

 

木の家が人に優しいのは、まさに木という素材そのものが自然の表現力を持つものだからなのです。我々は木の木目や肌合いに触れて、大自然の不思議、力強い美しさを感じているのです。

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