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blog 木は住む人の健康を守る

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古来日本では、家は木と土と草(木材、漆喰、土壁、和紙)でできていました。

これらの素材は自然素材とひとくくりにもされますが、そのような素材でできた昔ながらの家は、今ではほとんど見かけなくなってしましました。

もちろん、つくろうと思えばつくれます。

ですが、すべてが手づくりとなって手間がかかるために、人件費の高くなった現在では建設費が高くなってしまい敬遠されがちです。

 

それでも、できるだけ自然の素材を使った家づくりがよいと思うのは、自然素材でつくられた家が人に優しい家になるからです。

 

しかし一方、昔ながらの木と土と草の家は、その特徴として、傷が付きやすく汚れやすいので住まい手のこまめな手入れを必要とします。

 

戦後、日本の経済が驚異的に発展した際、日本には労働力が不足していました。

家の手入れをしていた労働力が国を支える労働力として注ぎ込まれました。

女性も外で仕事を始める、子どもたちが労働力として早い時期から家を離れて働き始める。

あるいは教育が整い子どもたちが高学歴化して、家の手伝いよりも勉強のほうに時間を取られる。

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今まで家の手入れをしてきた家族の労働力が外に出払ってしまったのです。

その結果、家の手入れをまかなうことが難しくなってしまいました。

 

じつは新建材は、家の手入れの労力を減らすことを助けてくれるのです。

それはどういうことかというと、新建材と呼ばれるそれらの新しい建材は、傷を付きにくくするために科学的な塗膜を塗っていつもきれいな状態を保つようになりました。

さらには害虫を寄せ付けないように強い殺虫剤を浸み込ませていました。

 

新建材は無垢の木のように毎日磨く必要がなかったのです。

害虫の被害を気にする必要もなかったのです。

新建材の中に含まれている接着剤や、塗装に使われている化学物質、害虫よけの殺虫剤に、人体に害を与える成分が多量に含まれていることが問題になるのはずいぶんと後のことです。

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「シックハウス」として知られるその問題は、シックハウス対策法という法律を生み出しましたが、その法律では室内の換気を義務付けただけで、有害な物質への徹底的な使用禁止までは踏み込んでもいません。

建築に使う材料だけではなく家具に使われる接着剤などもあり、管理しきれないというのが国の言い分です。

それと同時に、手入れが不要な新建材は、住まい手にとって便利なものとして定着しているために、今さらその便利さを放棄できないのかもしれません。

 

さすがに室内に入ると目が痛くなるような、極めて有害な物質を放出するような建材は見当たらなくなりましたが、それでも接着剤や防虫剤を多用した建材を使えば微量ながらも化学物質が室内に放出されていることには変わりなく、その化学物質も微量とはいえ、長期的な視点で人体にどのような影響があるかについては誰もその安心を保障できていないのです。

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ではどうしたらいいのか。

答えは簡単です。

昔から使っていた素材をそのまま使えばいいのです。

木と土と草の家。

それが実現できれば一番です。

もちろん、そうした材料は先にも触れたように、熟練した職人さんによる手間暇のかかる仕事を要しますから、コストとの戦いとなります。

それでも、工夫次第でリーズナブルな自然素材の家はできると考えています。

 

ポイントはバランス。

コストをよく考えてバランスよく採用することです。

そのためには自然の素材に詳しい設計者や施行者のアドバイスを受けた家づくりをおすすめします。

可能な限り木と土と草を使った家づくりは、そこに住む人の健康な暮らしを守っていくうえでとても大切なことなのです。

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木は傷付きやすいものです。

けれども、長い年月、私たちの住まいを支えてきてくれた頼もしい、一番安心できる素材であることに違いはありません。

われわれの健康を支えてくれる木の家の優しさを、今もう一度考える必要があるのだと思います。

 

また、シックハウスのもうひとつの原因であるハウスダストの発生に対しても木は優れています。

木は結露が起こりにくい素材なのです。

木という素材が熱伝導率の低い素材であるということにも関係しています。

木は熱伝導率が低いために結露が発生しにくいのです。

そのため木はカビが生えにくく、ダニなどの害虫の発生を抑えることができるのです。

 

木には、とくにヒノキに豊富ですが、ヒノキチオールという害虫を寄せ付けない成分が含まれています。このヒノキチオールがダニの発生を抑えていることも付け加えておきましょう。

木の家は総合的に考えて、人に優しく健康的な生活をもたらしてくれるのだといえます。

木の家はとても優しく人を包み込む環境なのです。

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